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2021年01月
2021.01.27
印鑑の押印省略 通勤労災時に提出する念書に保険会社からクレームが⁉
「脱印鑑」は国の方針。これに外資系会社がクレームを付けた!それに労働基準監督署が折れた!最近の体験です。
昨年末から政府の「脱印鑑」方針を受けて、あらゆる公的な申請書類から「いつの間にか」印鑑の押印欄が消えています。いったい、どの書類が不要になったのか、はっきりわかりません。
社会保険や労働保険の申請書類を労働局や年金機構のHPからダウンロードして使用する際に、最近まであった押印欄が消えていることに気が付きます。ところが、ひょっとしたらこれはミスプリントなのか、と思ってしまったり。
通勤労災の発生時に「第三者行為災害届」と共に添付する「念書」にも押印欄がありませんでした。そこで、それに従って請求人の署名だけで労働基準監督署に提出したところ、相手方の保険会社(外資系)から押印の不備を労働基準監督署経由で連絡してきました。
「念書」に押印がないため保険会社としては労働基準監督署からの調査に返答することができない、との内容です。
このことで驚いたことが二つあります。
① 外資系の会社であるにも関わらず「押印」の有無にこだわること。もともと押印の習慣などないはずの外資系会社であるはず。
② 国の政策に基づいて「脱印鑑」を推し進め、それを受けて労働局の役人が申請書類から「押印」欄を外して、わざわざアップロードしているものを、民間の保険会社から不備と言われ、それを否定できず、そのまま当方に通知してきた労働基準監督署。
当事務所としては、当然のことながら方式に従って作成した書類が、このような言い分で返戻されることに対して、監督署には反論をしました。
相手方保険会社は、自社内での稟議が通せない、という理由だけのはず。私は思わず「監督署は弱腰ですね」と言ってしまいました。監督署の担当者はただ謝るだけでした。
こんなことが通るのならば、すべての書式が存在価値を失くします。
最近あった本当の話です。
2021.01.13
通勤労災と自動車保険の関係 どちらを選ぶ?
通勤途中に交通事故にあった場合。
通勤労災を申請することも選択肢としてあります。
通勤労災を申請するとどうなる?
自動車や自転車通勤を認めている事業所は多いと思います。通勤途中に交通事故にあった場合、基本的には被害者、加害者の保険で補償をします。ところが相手方が任意保険に加入していないとか、自分が任意保険に加入していないなど、どうすれば良いのか?従業員や事業主の方から相談があります。
むしろ最近は保険会社から通勤労災を申請してください、と言われることが増えているように思います。
では、通勤労災を申請すると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリット
① 休業給付の支給は自動車保険より早く行われることがあります。通勤労災の休業給付は請求の期間が特には決まっていないため、早い段階から何回かに分けて支給を申請することができます。
② 万一、身体に障害が残った場合に障害等級に該当すれば、それに応じて障害一時金や障害年金を受給することができます。
③ 自動車保険から休業補償を受けた場合でも、さらに平均賃金の20%に相当する特別支給金を受給することができます。
④ 症状が固定するまで比較的長い期間にわたって対応することができます。
逆にデメリットはあるのでしょうか?考えられることとして。
① 労災支給にかかる申請用紙に加えて「第三者行為災害届」の提出が必要になること。
② 通勤労災は会社側には責任はありませんが上記の書類の提出のために事務担当者の手間をかける可能性があります。
当然のことですが、自動車保険からの休業補償と労災の休業給付をダブルで受給することはできません。労災として支払われた給付と自動車保険から支払われた補償は相殺されます。
また、レアなケースですが最近あった事案で、従業員の方が任意保険に加入していなかったため、従業員側には保険会社の窓口担当者が存在しないので、直接相手方保険会社に従業員が交渉しなければなりませんでした。加えて本人には相手方の車両の修理代金を支払う能力が無く、相手方保険会社の交渉が有利に進むような状況です。本人は労災保険から自分の補償は出るから、治療費や休業補償の分まで相手方への求償を放棄する示談を行う心づもりだったようです。すべて会社が労災の手続きをするし、お金は労災からもらえて自分のバイクは自分で修理すれば良いし楽だと思っていたのではないでしょうか?
もし本人が全部の損害を請求する権利を放棄する示談をしてしまったらどうなるかと言うと。そもそも労災は本人が損害を請求する権利を肩代わりして実行し、労災給付を行うものです。この権利が本人に無い場合、政府としても支払った損害金を請求する権利が存在しないことになり、通勤労災そのものが成立しなくなります。
通勤途上の事故には当て逃げや自損事故もあります。その場合には相手方が不明でも存在しなくても通勤労災は成立します。これは本人が請求する権利を放棄しているわけではないからです。
レアなケースとは思いますが、示談する際には気を付けなければならない、ということを痛感した事案です。
2021.01.12
厚生年金保険「養育期間標準報酬月額特例」申し出について
「養育期間標準報酬月額特例」とは?
育児休業が終了し職場に復帰しても当初は短時間勤務にすることが多くあります。この時健保、年金保険関係で必要な手続きは2つです。
① 「月額変更届」 復帰後3か月が経過したら給与の額を確認し、条件に該当した場合提出します。
② 「養育期間標準報酬月額特例」
この制度は会社側、従業員側のどちらにも新たな費用負担はありません。ぜひ活用するべき制度です。
この手続きをしないままになっていませんか?
「養育期間標準報酬月額特例」とは
育児休業復帰後、短時間勤務などにより給与が減少した場合、申し出ることによって子が3歳に達するまで厚生年金の標準報酬月額を育休に入る前の額を適用して被保険者に不利にならないようにする制度です。支払う保険料は減少した給与に対する額で構わないというものです。
育児休業が終了して職場に復帰する際に短時間勤務になり給与が減少することが多くあります。そのような場合に「養育期間標準報酬月額特例」を申請することで、実際の厚生年金保険料の支払い額は減少後の給与に対する額で良いのですが、育児休業に入る以前の標準報酬月額のまま厚生年金の等級を子が3歳に達するまで認めてもらうことができます。年金の受給額が有利になる制度です。
申請に必要な「添付書類」
これには子の戸籍謄本または住民票が必要な添付書類として要求されます。実務ではこのような添付書類が色々と必要になることが多く、我々のような社会保険の専門家でなければ、なかなかスムーズに申請ができません。正直、私でも添付書類を漏らすことがあるくらいです。
たかが手続き業務ですが、本当にひとつひとつ奥が深いです。
もちろん標準報酬月額の変更届も忘れないようにしなければなりません。
2021.01.06
つい忘れがちな「月額変更届」
基本給を増額または減額した場合、健保・年金保険料の変更が必要になることがあります。
昇格、降格や配置転換があった時、基本給等の増額、減額をすることが多くあります。このような場合、健康保険・厚生年金の保険料をそれに合わせて変更しなければならないかも知れません。年金事務所の調査があれば、ほほ必ずと言っていいほど、この手続きができているかをを調べます。該当した場合「月額変更届」を年金事務所に提出しなければなりません。指摘を受けてから修正した場合、かなりな高額保険料を追加で支払うことになることがあります。
この手続きは事務担当者の方には負担になったり、あるいは制度そのものを知らないことが多く見受けられます。ぜひとも社労士を活用していただければ、と思います。
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