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事例
2023.10.31
年収の壁・支援強化パッケージ
厚生労働省は「年収の壁・支援強化パッケージ」というキャッチフレーズで、「106万円の壁」および「130万円の壁」に対する支援措置を発表しました。順次、制度の申請方法など詳細が公表されています。
パート・アルバイトで働く方が「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを後押しする、というキャッチフレーズのもと、2つの制度を発表しました。
「年収の壁」は従来から4つ存在しています。
①100万円:住民税が課税
②103万円:税金の配偶者控除から除外
③106万円:一定の規模以上の事業所で働く場合、健康保険・厚生年金に加入
④130万円:週30時間程度以上働く場合、健康保険・厚生年金に加入
以上、4つの「壁」の内、③「106万円の壁」および④「130万円の壁」に対する支援を行うというものです。
※「106万円の壁」対応として・・・
健康保険・厚生年金の加入に併せて、手取り収入を減らさない取り組みをする企業に対し、労働者1人当たり最大50万円の助成を行う。
注意:健康保険・厚生年金に新たに加入することが前提であること、助成金は従業員ではなく企業に支給される。
※「130万円の壁」対応として・・・
収入が一時的に上がって年収が130万円を超える時、事業主が証明をすることで、引き続き配偶者の側の被扶養者認定が継続できる。
いくつかの注意点のチェックが必要です。
2023.08.23
有給休暇を前倒しで分割付与する場合の注意
前倒し付与した最初の日が年休の付与「基準日」になります。
有給休暇を入社時に、例えば5日間を付与し、6カ月経過後に残りの5日間を付与する「前倒し付与」をしている場合があります。
労働者にとっては、入社早々に体調を崩した時に、前倒しで付与された有給休暇の取得を申請すれば、欠勤扱いとならずに休むことができるので、とってもありがたい制度です。
このように入社時に前倒し付与している場合、注意しなかればならないこと、それは「基準日」です。「基準日」とは年休権の発生日のことをいいます。
通常、基準日は入社6カ月後に当たりますが、前倒し付与した場合は、この「基準日」が前倒し付与をした日、すなわち入社日に繰り上げられます。
従って、2回目の付与日も、これに伴って最初の付与日から1年後に繰り上げられます。
4月1日に入社した場合、1回目は入社日に付与し、2回目はその1年後である翌年の4月1日になるということです。
入社6カ月経過後、残りの日数を付与した日が「基準日」にならないこと。注意が必要です。
2023.06.29
労働基準監督署の臨検監督 調査の流れと注意点
労働基準法は労働者を保護するための法律であり、労働基準監督署は企業がこれを守っているか、定期的に調査しています。労働基準監督署が実際に企業などに出向き、調査を行う「臨検監督」について、流れや対応方法について説明します。
最も多い調査は「定期監督」。
臨検監督の種類は「定期監督」「申告監督」「災害時監督」「再監督」の4種類。
「定期監督」は労働基準監督署が監督計画に基づいて行う調査で、現状特に問題のない企業も対象になる。調査全体の約8割がこれに当たる。
「申告監督」は労働者などから労働基準監督署に申告があった場合に行われ「災害時監督」は労働災害が発生した時に行われる。「再監督」は前回指摘した是正措置や指導内容を、その企業が改善しているかを確認するもの。
「定期監督」は通知なしで実施するのが原則だが、実務上、調査対象企業の担当者と日程調整のうえ実施するのが一般的。企業には臨検監督の「拒否権」は無く、応じない場合には罰金が科されることがある。
「定期監督」は時期によって、ある程度テーマ(労働時間、最低賃金、有給休暇、安全衛生など)が決まっているようです。
通常、監督官2名で事業所を訪問。「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」を確認のうえ、勤務実態と乖離が無いかなどを確認する。
最近、当事務所が良く聞く調査ポイントは残業時間が45時間を超えていないかどうか?という内容です。
調査の結果、法令違反ではないものの一定の改善を行う必要がある場合は「指導票」が、法令違反が認められる場合は「是正勧告書」が交付される。施設の不備により危険がある場合は、その設備に対して「使用停止等命令書」が交付されることがあり、企業にとっては大変な打撃となることがあるので注意が必要です。
2023.05.24
外国人労働者を雇用する場合に注意すること
就労できる在留資格と注意事項
日本に在留する外国人労働者の国籍は、1位「ベトナム 25.4%」、2位「中国 21.2%」、3位「フィリピン 11.3%」(2022年10月現在)。
外国人が日本に在留するには出入国管理および難民認定法に基づき、在留資格を得る必要があります。日本に中長期在留する外国人には「在留カード」が交付され、カードには氏名、生年月日、国籍、在留資格と在留資格の種類が記載されています。
在留資格の中で『定められた範囲で就労が認められる在留資格』は20種類、『原則として就労が認められない在留資格』は5種類、『就労に制限が無い在留資格』は4種類です。
永住者や日本人の配偶者などは就労に制限がない在留資格で、日本人と同様に制限なく雇い入れることができます。
また『技能』は熟練した技能を持つ外国人に認められるもので、たとえば調理師は10年以上の実務経験を証明して取得できます。従って、外国語ができるから通訳として雇用するなど、本来認められない範囲外の就労はできません。
範囲外の就労をさせてしまったり、在留資格のない外国人を働かせたりすると、事業者は不法就労助長罪に問われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることがあるので注意が必要です。
2023.01.18
令和5年1月から傷病手当金の受取人が本人限定に変更されます
協会けんぽの傷病手当金を受け取る場合、受取人は被保険者本人の銀行口座しか指定できなくなります。
私生活上の病気やケガなどにより休職を余儀なくされたときに申請して支給される「傷病手当金」。支給開始から通算1年6か月間、申請により受給することができる制度です。この制度のお陰で安心して療養することができた経験がある人も多いことでしょう。
受給できる期間は、昨年、途中で復職などして不支給期間があった場合でも、その後また療養に入ったら不支給期間を除いて通算して1年6か月間受給できるように制度の変更がありました。
今回の変更は手当金「受取人」の指定についてです。
従来は、本人が指定すれば、例えば家族などを受取代理人とすることができました。確かに本人が銀行に出向いてお金を引き出すことが困難な場合も多いでしょう。
令和5年1月1日から、協会けんぽの傷病手当金の受取人指定制度が変更され、本人の口座しか指定することができなくなりました。ただし、相続の場合は戸籍謄本の提出などにより例外はあります。
今まで「会社」を受取人にすることもできていたのですが、全て本人に限定されることになります。
従って、一旦会社が本人に代わって傷病手当金を受け取って、健康保険料などを差し引いて本人に差額を支払うというようなこともできなくなります。
これは、すでに以前より引き続き本人以外の受取人を指定して申請を継続している場合にも適用されることにも注意が必要です。
2022.12.01
「振替休日」と「代休」の違い
休日に出勤して代わりに勤務日を休日にすることは、よくあることと思います。
そんな時「振替休日を取得した」のか「代休を取得した」のか、なんとなくどちらでも同じように思ってしまいませんか?
ところが「振替休日」と「代休」は、その取扱いが違います。
あらかじめ休日と決まっていても、その休日に出勤する必要が生じることがあります。
「休日の振替」とは、あらかじめ休日と決められていた日に出勤し、その代わりにほかの出勤日を休日にすることです。
ただし、休日の振替をする場合は、就業規則などで休日を振り替えることができることを定めておく必要があります。
これにより、あらかじめ休日と決められた日が出勤日となり、その代わりに振り替えた日が休日になります。
この場合には、もともとの休日に出勤しても「休日出勤」にならず、休日労働に対する割増賃金の支払いも必要ありあません。
これに対して「代休」とは、休日出勤などが行われた場合に、その代わりとして以後の特定の出勤日を休日とするもので、前もって休日を「振り替えた」のわけではなく「代休」を与えることで休日に勤務したことが平日に労働した扱いになることでもありません。
したがって、休日出勤の割増賃金を支払う必要があります。
休日出勤の割増賃金を支払うのだから、その日に代わる休日を与える必要がないことになります。
もっと簡単に言うと、急に休日に出勤してほしいとなったら「代休」で、代わりに休む日をあらかじめ決めてから休日に出勤して、その決められた日に休んだら、それは「振替休日」です。
ただし、いずれの場合も割増賃金については、少し細かい決まりがありますので注意が必要です。
2022.06.12
健康診断実施後の措置(就労判定)
労働安全法に基づく健康診断実施後の措置について、最近、労働基準監督署から「就労判定」の実施を指導されることが増えています。
健康診断の結果を見るときは、少しドキドキしますね。
事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を聴取し、必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更等、適切な措置を講じなければなりません。
この法律独特の言い回しを少し簡単に説明すると・・
① 医師等:歯科医師による健康診断もあるため、このような表記になっています。
産業医の選任の義務がある事業所では「産業医」であることが適当です。
産業医の選任の義務のない事業場では地域産業保健センターを活用することが便利です。
② 医師の意見:就業区分及びその内容に関する意思の判断
就業区分とは、「通常勤務」「就業制限」「要休業」などの区分を言います。
医師等が就業区分を判定することになり、これがいわゆる「就労判定」です。
③ 事業者は就業判定の結果、就業制限を必要とする労働者には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じて、その労働者の了解が得られるように「努める」こととされています。
2022.05.06
休業中の従業員に定期健康診断を受診させる必要はあるのでしょうか?
健康管理に大切な定期健康診断
育児休業や療養のために休職中の従業員にも定期健康診断を受診させることは必要でしょうか?
こんな質問を顧問先から最近いただきました。この事例の場合は自己都合による休職中の従業員の方の扱いをどうするのか、という内容でした。
平成4年3月13日の(基発)第115号の通達には以下のように記載されています。
「事業者は、定期健康診断を実施すべき時期に労働者が育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくても差し支えないものであること。」
このことから、育児休業中の従業員でも定期健康診断を実施しなくてよい、というのであるから療養等による休職中の者、今回のように自己の事情により休職している者に対してまで定期健康診断を実施する必要はないと推測できます。
ただし、「差し支えない」という微妙な表現であることから、積極的に受診を勧める必要までは無いと考えるのが妥当かも知れません。
2021.10.02
65歳超雇用推進助成金の申請受付停止
令和3年度 65歳超雇用推進助成金の新規申請受付が停止されました!
「65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)」は、65歳以降の継続雇用延長・65歳までの定年引き上げの取り組み等を行う企業に対して支援するため創設された助成金制度です。
それが9月24日(金)をもって新規申請の受付を停止するとの発表が突然ありました。
想定を超える多数の申請があったことが理由です。
当然のことながら私たち社労士業界に激震が走りました。たくさんの申請が有るということは、それだけたくさんの担当者が、それまで申請の手続きをし、これからも申請を行うべく企業様に提案しているはずです。
ある日突然の受付停止宣言です。
今までにも助成金に関しては年度の途中で制度が突然廃止されることがありました。
昨年は「職場環境改善助成金」が突然受付を停止したというのが記憶に新しいです。
助成金は支給申請を行うために、たくさんの書類の準備が必要です。申請までに時間がかかってしまうのは仕方がないことです。
膨大な時間を費やして準備してきたものが一瞬にして、しかも不可抗力とも言えるものによって崩れ去る。
助成金の提案には慎重にならざるを得ません。
2021.08.17
慶弔見舞金の相場と規程の変更
あなたの会社の慶弔見舞金の金額や内容は妥当ですか?
既にある慶弔見舞金規程の金額を変更する場合は、不利益変更になる場合がありますので注意が必要です!
慶弔見舞金は通達(昭和22.9.13基発17)により原則として任意、恩恵的なものであって賃金とはみなされない。
しかし・・・就業規則等によって、あらかじめ支給条件の明確なものはこの限りではない=賃金とみなされる。
金額の減額や廃止をする場合、就業規則の「不利益変更」という問題が生じる可能性があります。
あなたの会社の慶弔見舞金の金額や内容はどうでしょう?
① 金額は妥当ですか?
【結婚祝金】
相場30,000円
勤続年数により金額を変える場合が多く見受けられます。また新婚者と再婚者で金額に差を付けていることもあります。再婚者は半額!とか・・・
【出産祝金】
相場:第1子 10,000円 第2子以降5,000円
第2子以降、半額程度に減額する会社も多いです。
中には逆に第3子以降20,000円ずつ加算する会社もあります。
出産祝金 第1子と第2子以降で金額が違う会社が多いのは何故?
※ 相場金額は参考数字です
【傷病見舞金】
相場 業務上10,000円 業務外 10,000円
原因を業務上と業務外に分けて支給する会社が多いです。
【死亡弔慰金】
相場 業務上 1,000,000円 業務外 250,000円
こちらも原因が業務上と業務外で金額が変わる場合が多いです。金額については会社によって上下の幅がとても大きいという印象です。
2021.06.11
国際自動車 残業代未払い事件 割増金から残業代を差し引く
2021年3月10日、歩合給から残業代相当額を差し引く仕組みが、事実上の「残業代ゼロ」であるとして争っていた事件で、会社側が未払いの残業代として約4億円の解決金を支払うことで原告側と合意しました。
簡単に表すとこのような内容です
裁判では、仕事の能率を評価することを前提に定められた「能率給」(売上高に応じた歩合給から残業代相当額を差し引く仕組み)の是非が争われていました。
最高裁は、この仕組みでは労働基準法に定める割増賃金が支払われたことにはならないという判決を下しました。また、割増賃金を支払ったかどうかを判断するには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できる必要があることも示されました。(資料:労務マガジン6月号)
この会社の給与規定は独特なもので一般的にはわかりづらい内容です。
でもタクシー運転手さんとかトラックドライバーさんのような仕事では、どれだけ人を運んだか、あるいは荷物を運んだか、が歩合給として支給されていることが多いですね。
その歩合を稼ぐのに、残業をたくさんして稼いでもそれは時間をたくさん使った結果であって、売り上げを上げるには通常の勤務時間内で上げてください、という会社側の意向を反映したものでしょうか。
でも、やっぱりそれはいけませんということですね。
2021.05.20
テレワークに変更後の通勤手当は、どうなる?
出勤しないなら支給無しでOK?テレワークに変更後の通勤手当
資料出典:労務マガジン
通勤手当として毎月の定期券代を支給している従業員が、業務のほとんどをテレワークで行うことになりました。出勤しなくても業務は遂行できるため、今後の出勤はほぼなくなるものと思われます。そこで通勤手当を勝手に外しても良いのでしょうか。テレワーク勤務になっても、通勤手当として定期代は支給するべきなのでしょうか?
【結論】 そもそも労働基準法では、定期代などの通勤手当の支給を義務付けていません。法律的に表現すると労働契約は労働者の「持参債務」です。しかし、会社の就業規則や賃金規定、雇用契約書で「通勤手当を支給する」とだけ規定している場合は、労使間の合意に基づく賃金の一部という扱いになり、会社の都合で減額したり、不支給にすることはできません。
就業規則や賃金規定次第では在宅勤務でも全額支給の必要あり
もし、就業規則で通勤手当について「通勤手当として毎月の定期券代を支給する」とだけ規定している場合は、実際の出勤日数とは関係なく会社はその月の通勤手当を支給しなければなりません。
極端な話、テレワークにより1日も出勤しない、つまり通勤費はかからない場合であっても、定期券代を支給する必要があるのです。このように昨今のテレワークの浸透により、従来の通勤手手当の規定では現状にそぐわない会社もあることでしょう。
ではどのような場合であれば減額や不支給が可能になるのでしょうか。
規定に支給基準を定めてあれば減額も可能
規定に「賃金計算期間の全日数にわたって通勤の実態がない場合には、通勤手当は支給しない」や「〇〇日以上通勤しない日がある者の通勤手当は、日割り計算とし、実際の通勤日についてのみ支給する」など支給基準を定めておけば、実費分のみの通勤手当の支給が可能です。
在宅勤務を導入するときは、就業規則の通勤手当を確認し、何日以下の出社では実費精算にするのか、在宅勤務中に業務で交通機関を使う場合はどうするのかなど想定できる項目を明確に規定しておくことが大切です。
2021.04.29
「同一労働同一賃金」の勘違い!
「同一労働同一賃金」
勘違いをしていませんか?
コロナのおかげで「同一労働同一賃金」の議論が少し存在感が薄くなったような気がします。「働き方改革」も同様な感じが・・。
「正規社員」と「非正規社員」の待遇格差を解消!!
「同一労働同一賃金」
「正規社員」と「非正規社員」の待遇格差を解消することが目標です。
あくまでも正規社員と非正規社員の間での待遇格差です。
正規社員は言うまでもありませんが、
非正規社員とは・・・
①短時間労働者 ②有期雇用労働者 ③派遣労働者
のことを言います。
なので・・・ いわゆる社員間での待遇格差のことではありません。
同じ仕事をしている社員だったら皆同じ待遇にする・・という主旨ではないのです。
もちろん社員間での待遇格差があれば、そこで働く社員は不平不満を持ちます。でも、このことと「同一労働同一賃金」は、その「土俵?」が違うのです。
あの人と私は同じ仕事をしているのに待遇に格差があるのはおかしい・・「同一労働同一賃金」に反する・・
という意見を労働者の方から稀に聞くことがあります。
でも、ちょっと待ってください。「同一労働同一賃金」は正規社員と非正規社員の待遇格差を是正することです。
正規社員間での待遇格差ではありません。
企業として社員間での待遇格差があって、働く社員が勤務意欲を失くすこと。それは企業にとっても社員にとってもマイナスです。
社員間の待遇格差については「同一労働同一賃金」の議論とは別に、しっかりと検討し改善していくことは大切なことです。
2021.03.12
懲戒処分は「お前はクビ!」だけではありません
資料文献引用 SRネット関西 実務分科会
懲戒処分は「クビ」だけではありません。
懲戒処分は大きく分けると2種類です。
①労働契約の存続を前提とする ②労働契約の解消を前提とする
①の場合:戒告・譴責(けんせき)・減給・出勤停止・降格
②の場合:諭旨解雇・懲戒解雇
となります。
そして、ここで注意しなければならないこと・・・。
それは「一事不再理」の原則=ひとつの事案に対して処分できる回数は1回だけ、ということです。
事案が発生した場合、いきなり「始末書」を提出するよう命じる、とかいう判断をしてしまいがちですね。
この事案は始末書くらいのものだろう、みたいな考えで。
でも、ちょっと待ってください。事の顛末をよく把握してから判断をしましょう。
そこで、まず「顛末書」の提出を命ずるところから始めましょう。
「顛末書」は事の顛末を報告するだけのものです。これに対して「始末書」は反省文などを書かせてしまうものです。
ひとつの事案に対して1回だけしか処分を下すことができないのですから「始末書」を提出して終わってしまうと、そのあとからもっと重い処分をしなければならない事情が判明するなどした場合、処分の内容を変更することが難しくなります。
もちろん簡単に「クビ!」などという発言は慎まなければならないですが、簡単に「始末書」提出という処置も考えないといけません。
2021.03.03
愛知県に「労災保険業務センター」が設置されています。
愛知県に「労災保険業務センター」が設置されています。これは愛知県全体の労働基準監督署管内で発生した労災事故を審査する専門部署です。従来は各所轄労働基準監督署で審査を行っていたものを「名古屋北労働基準監督署」管内の一か所に集中させるものです。
この試みは全国でも初めてです。将来的には全国にも同様の部署が、各都道府県の労働基準監督署に設置されるかもしれません。
労災に注意!!
社会保険労務士の仕事を始めてから、たくさんの労災事案を処理してきました。
労災は、そのほとんどが不注意を原因として起こります。
運送業に携わる方は、重い荷物を運ぶことが多いため腰痛を起こすことがよくあります。
もともと個人的な要因で腰を痛めていた方が腰痛を起こした場合、それが業務を原因として引き起こされたものなのか、日常生活の中でも腰痛になっていたのか。ぎっくり腰の場合などは特に境目があやふやです。
これは一例にすぎませんが、労災の申請を審査することは大変な労力が必要だと思われます。私のような一人の社労士ですら、たくさんの労災申請を経験しているのですから、愛知県全体、ひいては日本全体ではいったいどのくらいの数の審査をしているのか。と思うと大変だと想像ができます。
このたび私の関与する事業所様で発生した労災案件は少し審査が必要な事案であったため、所轄労働基準監督署に審査依頼をしたところ、「愛知労災保険業務センター」という初めて聞く部署から通知が届きました。今後は、そちらで審査をするというものです。
それまでは近くの所轄監督署の窓口で相談を続けていたのに、急に聞いたこともないところから通知が届いたわけです。
そこで確認したところ2~3年前に新設された部署で全国でひとつしかない、というところだったのです。
当然のことながら「専門組織」ですから、提出を要求される書類が多くてビックリ。今まで、提出したことのない書類が結構あります。
でも、でも・・・。各監督署で案件を審査するより専門部署が、それだけを処理する方が効率的で正確な対応が可能になるように思います。
きっと、今後こんな専門組織が全国に拡大するでしょうね。
2021.02.13
離職後失業期間中の健康保険はどうすれば良い?配偶者(主に旦那様)の健康保険に加入する場合は注意。
離職してから失業期間中の健康保険への加入方法は3つあります。
① 国民健康保険に加入する ② 在職時に加入していた健康保険の「任意継続」制度を利用する ③ 配偶者などの「被扶養者」として加入させてもらう
ここでは③の配偶者などの「被扶養者」として加入させてもらう場合についての注意点をお伝えします。
離職した後「失業保険」を受給することが多いと思います。失業保険を受給する場合、その期間中の健康保険についてのお話です。
失業保険を受給している期間中に限ってのお話です。
失業保険の受給中は、その受給額が一日あたりの日額で3,611円以下であることが条件です。
では、失業保険の受給額が1日3,612円以上になるとどんな注意が必要でしょう?
自己都合による退職の場合、失業保険の支給の手続きをしてから7日間の「待期期間」と、その後2か月間の「給付制限期間」があります。簡単に言うと2か月と1週間は失業保険がもらえません。
失業保険の受給が始まるまでは、その間は働かない限り収入がないことが普通です。その期間は無収入ですから配偶者が会社などで健康保険に加入していれば、その「被扶養者」として加入できます。普通は、それが一番「お得」です。何しろ健康保険の加入費用がかからないのですから。通常は、この方法を選択します。国民年金の保険料も払う必要はありません。
ところが、その後「失業保険」の受給が始まり日額3,612円以上もらい始めると、たちまち配偶者の「被扶養者」としての加入条件をクリアできなくなるのです。
失業保険を受給している期間は自分で「国民健康保険」に加入しなければならないのです。しかも国民年金の保険料も別に支払わなければなりません。
この時期になると「任意継続」の加入申請可能な「退職後20日」を経過しているため「任意継続」保険に加入するという選択肢はありません。
そして・・失業保険の受給が終わって、また無収入になれば再び配偶者の「被扶養者」としての加入資格が復活するので、再度加入させてもらう、ということになるのです。
何と面倒くさいことでしょう!
配偶者(通常旦那さん)の会社で一旦は「被扶養者」としての加入をしてもらい、その約2か月後に「資格喪失」の手続きをして自分で国民健康保険に加入し、その90日後から150日後(条件によって違います)にまたまた旦那さんの会社の健康保険に加入させてもらう。
こういう段取りになるのです。
社労士としていつも思います。このことを退職する従業員の方に丁寧に説明すると聞いている方は、さっぱり訳がわからなくなるのです。
退職後の健康保険加入条件を、この期間だけもっと簡単にできないものか?と。
2021.02.02
36協定の様式がまた新しくなりました。労働者代表の選出がポイントです。
36協定の様式がまた新しくなりました。今まで、労働基準監督署に36協定の提出をする時、受付担当者が口頭で労働者代表が「管理監督者でない旨申し出があった」ことを確認し押印するということはありましたが、労働者代表の選出方法まで確認することはありませんでした。
今回はこれと合わせて「1年単位の変形労働時間制」に関する協定届にも同じようにチェックボックスが新設されました。
来年度から使用することになる36協定の様式は労働者代表が「管理監督者でない」こと及び「投票、挙手などによる手続きを経て選出された」ことを事業者が自ら確認しチェックボックスにチェックを入れることで内容を確実なものにすることが目的のようです。
もっとも大切な事は、その労働者代表が「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を確認し、事業者と労働者代表が共同でチェックさせることにあるのだと思います。
特に中小企業などでは、そもそも従業員が労働者代表の存在を知らない、あるいは自分が労働者代表であることをちゃんと理解していないことが多々ありました。
従来、社長などから協定書を提供する必要があるから「君が代表になっといて」などと頼まれ、訳がわからないまま協定書に署名した、というようなことが普通に行われていました。
私の関与先では従業員「親睦会」の会長が、そのまま従業員代表になることが慣例化していました。「親睦会」の代表は従業員から信任されているし、皆のお世話もしているのですから確かに従業員代表には適任かもしれません。
しかし往々にしてこの親睦会会長が課長職以上の管理職であることも多いのです。
基本的に管理監督者は従業員代表になることはできません。この場合の従業員代表と親睦会の従業員代表とは意味合いが全く違うのです。
問題は、うかつに従業員代表になった社員に責任がかかる、などと言うことではありません。
従業員代表でないものと交わした「36協定」すなわち時間外労働に関する協定書が、そもそも効力が無い、と見なされてしまうことが一番大きな問題です。
これは企業にとって場合によっては致命的な事態になることがあり得ます。
36協定が無効になれば、それまで行ってきた時間外労働すなわち残業が、すべて過去にさかのぼって違法とみなされ、労働基準法違反になることです。
これまで何度も裁判で争いの対象になってきた、この労働者代表の選出方法を改めて浮き彫りにし、確実にしっかり選任するよう求めてきたのです。これは、とても大切なことです。
事業主の皆様ならびに従業員の皆様、これを機会に従業員代表の選出について慎重に行うよう意識してください。
2021.01.27
印鑑の押印省略 通勤労災時に提出する念書に保険会社からクレームが⁉
「脱印鑑」は国の方針。これに外資系会社がクレームを付けた!それに労働基準監督署が折れた!最近の体験です。
昨年末から政府の「脱印鑑」方針を受けて、あらゆる公的な申請書類から「いつの間にか」印鑑の押印欄が消えています。いったい、どの書類が不要になったのか、はっきりわかりません。
社会保険や労働保険の申請書類を労働局や年金機構のHPからダウンロードして使用する際に、最近まであった押印欄が消えていることに気が付きます。ところが、ひょっとしたらこれはミスプリントなのか、と思ってしまったり。
通勤労災の発生時に「第三者行為災害届」と共に添付する「念書」にも押印欄がありませんでした。そこで、それに従って請求人の署名だけで労働基準監督署に提出したところ、相手方の保険会社(外資系)から押印の不備を労働基準監督署経由で連絡してきました。
「念書」に押印がないため保険会社としては労働基準監督署からの調査に返答することができない、との内容です。
このことで驚いたことが二つあります。
① 外資系の会社であるにも関わらず「押印」の有無にこだわること。もともと押印の習慣などないはずの外資系会社であるはず。
② 国の政策に基づいて「脱印鑑」を推し進め、それを受けて労働局の役人が申請書類から「押印」欄を外して、わざわざアップロードしているものを、民間の保険会社から不備と言われ、それを否定できず、そのまま当方に通知してきた労働基準監督署。
当事務所としては、当然のことながら方式に従って作成した書類が、このような言い分で返戻されることに対して、監督署には反論をしました。
相手方保険会社は、自社内での稟議が通せない、という理由だけのはず。私は思わず「監督署は弱腰ですね」と言ってしまいました。監督署の担当者はただ謝るだけでした。
こんなことが通るのならば、すべての書式が存在価値を失くします。
最近あった本当の話です。
2021.01.13
通勤労災と自動車保険の関係 どちらを選ぶ?
通勤途中に交通事故にあった場合。
通勤労災を申請することも選択肢としてあります。
通勤労災を申請するとどうなる?
自動車や自転車通勤を認めている事業所は多いと思います。通勤途中に交通事故にあった場合、基本的には被害者、加害者の保険で補償をします。ところが相手方が任意保険に加入していないとか、自分が任意保険に加入していないなど、どうすれば良いのか?従業員や事業主の方から相談があります。
むしろ最近は保険会社から通勤労災を申請してください、と言われることが増えているように思います。
では、通勤労災を申請すると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリット
① 休業給付の支給は自動車保険より早く行われることがあります。通勤労災の休業給付は請求の期間が特には決まっていないため、早い段階から何回かに分けて支給を申請することができます。
② 万一、身体に障害が残った場合に障害等級に該当すれば、それに応じて障害一時金や障害年金を受給することができます。
③ 自動車保険から休業補償を受けた場合でも、さらに平均賃金の20%に相当する特別支給金を受給することができます。
④ 症状が固定するまで比較的長い期間にわたって対応することができます。
逆にデメリットはあるのでしょうか?考えられることとして。
① 労災支給にかかる申請用紙に加えて「第三者行為災害届」の提出が必要になること。
② 通勤労災は会社側には責任はありませんが上記の書類の提出のために事務担当者の手間をかける可能性があります。
当然のことですが、自動車保険からの休業補償と労災の休業給付をダブルで受給することはできません。労災として支払われた給付と自動車保険から支払われた補償は相殺されます。
また、レアなケースですが最近あった事案で、従業員の方が任意保険に加入していなかったため、従業員側には保険会社の窓口担当者が存在しないので、直接相手方保険会社に従業員が交渉しなければなりませんでした。加えて本人には相手方の車両の修理代金を支払う能力が無く、相手方保険会社の交渉が有利に進むような状況です。本人は労災保険から自分の補償は出るから、治療費や休業補償の分まで相手方への求償を放棄する示談を行う心づもりだったようです。すべて会社が労災の手続きをするし、お金は労災からもらえて自分のバイクは自分で修理すれば良いし楽だと思っていたのではないでしょうか?
もし本人が全部の損害を請求する権利を放棄する示談をしてしまったらどうなるかと言うと。そもそも労災は本人が損害を請求する権利を肩代わりして実行し、労災給付を行うものです。この権利が本人に無い場合、政府としても支払った損害金を請求する権利が存在しないことになり、通勤労災そのものが成立しなくなります。
通勤途上の事故には当て逃げや自損事故もあります。その場合には相手方が不明でも存在しなくても通勤労災は成立します。これは本人が請求する権利を放棄しているわけではないからです。
レアなケースとは思いますが、示談する際には気を付けなければならない、ということを痛感した事案です。
2021.01.12
厚生年金保険「養育期間標準報酬月額特例」申し出について
「養育期間標準報酬月額特例」とは?
育児休業が終了し職場に復帰しても当初は短時間勤務にすることが多くあります。この時健保、年金保険関係で必要な手続きは2つです。
① 「月額変更届」 復帰後3か月が経過したら給与の額を確認し、条件に該当した場合提出します。
② 「養育期間標準報酬月額特例」
この制度は会社側、従業員側のどちらにも新たな費用負担はありません。ぜひ活用するべき制度です。
この手続きをしないままになっていませんか?
「養育期間標準報酬月額特例」とは
育児休業復帰後、短時間勤務などにより給与が減少した場合、申し出ることによって子が3歳に達するまで厚生年金の標準報酬月額を育休に入る前の額を適用して被保険者に不利にならないようにする制度です。支払う保険料は減少した給与に対する額で構わないというものです。
育児休業が終了して職場に復帰する際に短時間勤務になり給与が減少することが多くあります。そのような場合に「養育期間標準報酬月額特例」を申請することで、実際の厚生年金保険料の支払い額は減少後の給与に対する額で良いのですが、育児休業に入る以前の標準報酬月額のまま厚生年金の等級を子が3歳に達するまで認めてもらうことができます。年金の受給額が有利になる制度です。
申請に必要な「添付書類」
これには子の戸籍謄本または住民票が必要な添付書類として要求されます。実務ではこのような添付書類が色々と必要になることが多く、我々のような社会保険の専門家でなければ、なかなかスムーズに申請ができません。正直、私でも添付書類を漏らすことがあるくらいです。
たかが手続き業務ですが、本当にひとつひとつ奥が深いです。
もちろん標準報酬月額の変更届も忘れないようにしなければなりません。
2021.01.06
つい忘れがちな「月額変更届」
基本給を増額または減額した場合、健保・年金保険料の変更が必要になることがあります。
昇格、降格や配置転換があった時、基本給等の増額、減額をすることが多くあります。このような場合、健康保険・厚生年金の保険料をそれに合わせて変更しなければならないかも知れません。年金事務所の調査があれば、ほほ必ずと言っていいほど、この手続きができているかをを調べます。該当した場合「月額変更届」を年金事務所に提出しなければなりません。指摘を受けてから修正した場合、かなりな高額保険料を追加で支払うことになることがあります。
この手続きは事務担当者の方には負担になったり、あるいは制度そのものを知らないことが多く見受けられます。ぜひとも社労士を活用していただければ、と思います。
2020.12.29
知ってますか!歩合給は残業単価計算が特殊?です
歩合給を採用している場合、発生した残業時間に対する歩合給部分の残業単価計算は特殊です。
計算式:歩合給部分の残業単価=歩合給÷(月平均所定労働時間+残業時間)×0.25×残業時間
歩合給を採用している場合で、更に残業が発生した時。1時間あたり残業単価の算出方法を知っていますか?
歩合給の残業単価の計算には残業時間を含めて計算することができ、さらに1.25を掛ける必要はなく0.25で良いのです。意外ですよね。残業代の時間単価を計算する際に「家族手当」「通勤手当」「住宅手当」「別居手当」「子女教育手当」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は除外できることは良く知られています。
歩合給は限定列挙といわれるこれらの7つの手当には当てはまらないから、割増賃金の計算根拠となり125%の支払いが必要だと思ってしまいます。でも、125%ではなく25%だけで良いのです。
このことを知らなければ企業様にとっては損をしてしまうこともあります。ただ、なかなか意味を理解することが難しい内容です。
だからと言って簡単に歩合給を採用できるのか?というと、そんなこともないですね。
働いた成果がハッキリ歩合として現れる業務は良いですけど・・。
私が関与している運送業の事業者様では、検討の結果、歩合給の採用は見送り、通常通りの残業代を支給する賃金体系をとっています。
当初、この話をある講習会で聞いてこられた事業主様は、当社でもこの歩合給を採用して残業代の総額を抑えることができるのではないか!と興奮しておられましたが、内容を説明したところ採用を見送ることになったのです。
やっぱり従業員の働く意欲を増加させることが一番です。
2020.12.25
固定残業代を支払っている場合、給与規定などに明記していますか?
固定残業代として給与に含んで支払っている場合、給与規定等に明記していないと固定残業代として認められないことがあります。
固定残業代を支払っている場合。その名称にかかわらず固定残業代に見合う残業時間数(みなし残業)やその金額を給与規定と給与明細に明記しておく必要があります。もしこのような規程等がないと、せっかく支払っている残業代が基本給と見なされてしまうことがあります。要注意です。
2020.12.20
労働者派遣契約の派遣先が行う「抵触日」の通知義務について
派遣契約(個別契約)の締結前に書面等で行う必要があります
法律用語は難しい。労働局は派遣契約(個別契約)の締結前に、と表現するので、一般の担当者は労働者個人別の契約だと思い込みます。たった、これだけの文言の認識のズレが、ずっと話がかみ合わないまま進み、更に訳がわからなくなります。普通、個別契約と言うと個人別の契約と思い込んでしまいます。法律用語は難しいです。
2020.12.17
従業員から提出された労災申請書に疑問がある時、会社の署名押印をするべきか?
従業員から提出された労災申請書の内容に不自然な内容がある場合、会社証明印を押印することに抵抗があります。こんな時、どうすれば良いでしょう。
①証明を拒否する文書を労働基準監督署に提出する
②署名押印して提出するが意見書を添える
私は②の方法を提案します。
それにも二つの方法があります。あくまでも労災かどうかを審査するのは監督署です。
① 監督署に事案に対する精査を依頼し、もし労災と認定された場合は社として真摯に対応する、という文面を添えて労災請求の申請を行う。
② 一部の事実は認めるが、一部の主張は否認するという文言を書面の余白に書き込む。または別の文書に割り印をして添付する。
申請書に署名押印したからと言って会社が労災を認めたということにはなりません。しかし、押印する場合は注意が必要です。
一筆添え、異議を伝えることは大切だと思います。
2020.12.16
労災の申請がありましたが、本当に労災?という事案
これは労災になるのでしょうか?
手首の使い痛みなどの慢性的な疾患の場合、それが業務上発生したのかどうか微妙です。まず第一に目撃者は普通存在しません。いつ発生したのかもはっきりしません。今回の申請者(従業員)は、当初、以前からあった痛みで家事の途中で傷めたものと整骨院に自己申告されていました。ところが、どこでどのように事情が変わったのか、わかりませんが総合病院に転院し、業務上の疾病ですと言ってこられました。労災には、こういった出来事がよく見受けられます。
2020.12.15
運送会社の賃金規程を作成中
運送会社の賃金規程は手当や残業代などが複雑
運送会社の賃金規程は複雑です。運行手当、固定残業など独特の設定があります。職務柄、手待ち時間が多い。残業時間が長い。高速道路を使用したら経費がかさむ。などの理由から独特の賃金規定になってしまいます。企業を運営するために大切なこと、重要なことはたくさんあります。目立たないし、表にでることはありませんが「賃金規程」は会社にとって、とても大切なものだと思います。社労士は、そんな重要なことに関与するのだ、ということを改めて感じます。
2020.12.14
年金事務所の調査。
健康保険、厚生年金の加入および報告に関する調査がありました。昇給(降給)したときは注意しましょう。
年金事務所から健康保険、厚生年金の加入および報告に関する調査がありました。時節柄、実地調査は免れましたが。
給与を昇給(降給)した場合、3か月経過後に要件に該当していれば健康保険料の「月額変更届」を提出し、変更後の給与等級に応じた保険料を支払う必要があります。
事業主様は、この届の提出をついつい忘れがちです。
年金事務所の調査を受け、この事実が判明した場合、そこから遡って保険料を徴収されます。健康保険、厚生年金保険料は結構な高額になることが多いため、遡って支払うとなると企業および従業員の方の負担が重くなります。特に感情的にも後で徴収されると、すごく辛い気分になります。
このような届出は社労士の得意分野です。事業主の皆様、ぜひとも専門家である私にお任せを・・。
2020.12.11
36協定書の特別条項について
特別条項は付けたらどうなる
いわゆる36協定書には特別条項として残業時間の上限を引き上げることができます。労働集約型の事業では、人手が一番。テレワークの時代と言われてもやはり人力に頼ります。月間45時間または42時間の範囲内で残業時間を収めることは難しい。
特別条項をつけていないと残業そのものが違法になる。でも、それを付けて協定書を提出すると・・
「当社は残業時間が長い会社です」と宣言するような。監督署からの調査の頻度が?
このようなことで頭を抱えていることは、ありませんか?
私の関与先でも、昨日、まさに監督署とここの部分のやりとりがメインでした。
2020.12.09
健康保険の扶養者の加入審査が厳しくなっています。
健康保険の加入者に被扶養者がいて、その方が別居の場合は仕送りの証明が必要になりました。
健康保険の加入者に別居の家族等がいる場合。その人を健康保険の被扶養者として健康保険証を発行してもらおうとした時、仕送り等を本当に行っているのかを確認するために、それを証明する預金通帳または現金書留の領収書などの提出が必要になりました。
昔から、本当はそのような確認をするべきだったと思いますが、最近は実際に申請要件に明記されるようになりました。
健康保険に加入するにも、必要書類が増えました。現場は大変です。
2020.11.18
派遣会社に監督署の調査が入り、発注者側にまで指導が入りました。ちなみに私の関与先は発注者側の方です・・。
調査対象社だけでなく、関係先にまで指導が及ぶことがあります。
関与先の取引先の派遣会社に調査が入りました。こちらも元従業員か労働基準監督署に駆け込んだことが調査の発端です。
ここと取引をしている関与先にも不備があったため指導が入ります。
取引先にまで影響が及ぶことは、会社の信用問題です。対岸の火事と思わず気を引き締めないと。