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2021.03.12
懲戒処分は「お前はクビ!」だけではありません

資料文献引用 SRネット関西 実務分科会
懲戒処分は「クビ」だけではありません。
懲戒処分は大きく分けると2種類です。
①労働契約の存続を前提とする ②労働契約の解消を前提とする
①の場合:戒告・譴責(けんせき)・減給・出勤停止・降格
②の場合:諭旨解雇・懲戒解雇
となります。
そして、ここで注意しなければならないこと・・・。
それは「一事不再理」の原則=ひとつの事案に対して処分できる回数は1回だけ、ということです。
事案が発生した場合、いきなり「始末書」を提出するよう命じる、とかいう判断をしてしまいがちですね。
この事案は始末書くらいのものだろう、みたいな考えで。
でも、ちょっと待ってください。事の顛末をよく把握してから判断をしましょう。
そこで、まず「顛末書」の提出を命ずるところから始めましょう。
「顛末書」は事の顛末を報告するだけのものです。これに対して「始末書」は反省文などを書かせてしまうものです。
ひとつの事案に対して1回だけしか処分を下すことができないのですから「始末書」を提出して終わってしまうと、そのあとからもっと重い処分をしなければならない事情が判明するなどした場合、処分の内容を変更することが難しくなります。
もちろん簡単に「クビ!」などという発言は慎まなければならないですが、簡単に「始末書」提出という処置も考えないといけません。
2021.03.03
愛知県に「労災保険業務センター」が設置されています。
愛知県に「労災保険業務センター」が設置されています。これは愛知県全体の労働基準監督署管内で発生した労災事故を審査する専門部署です。従来は各所轄労働基準監督署で審査を行っていたものを「名古屋北労働基準監督署」管内の一か所に集中させるものです。
この試みは全国でも初めてです。将来的には全国にも同様の部署が、各都道府県の労働基準監督署に設置されるかもしれません。

労災に注意!!
社会保険労務士の仕事を始めてから、たくさんの労災事案を処理してきました。
労災は、そのほとんどが不注意を原因として起こります。
運送業に携わる方は、重い荷物を運ぶことが多いため腰痛を起こすことがよくあります。
もともと個人的な要因で腰を痛めていた方が腰痛を起こした場合、それが業務を原因として引き起こされたものなのか、日常生活の中でも腰痛になっていたのか。ぎっくり腰の場合などは特に境目があやふやです。
これは一例にすぎませんが、労災の申請を審査することは大変な労力が必要だと思われます。私のような一人の社労士ですら、たくさんの労災申請を経験しているのですから、愛知県全体、ひいては日本全体ではいったいどのくらいの数の審査をしているのか。と思うと大変だと想像ができます。
このたび私の関与する事業所様で発生した労災案件は少し審査が必要な事案であったため、所轄労働基準監督署に審査依頼をしたところ、「愛知労災保険業務センター」という初めて聞く部署から通知が届きました。今後は、そちらで審査をするというものです。
それまでは近くの所轄監督署の窓口で相談を続けていたのに、急に聞いたこともないところから通知が届いたわけです。
そこで確認したところ2~3年前に新設された部署で全国でひとつしかない、というところだったのです。
当然のことながら「専門組織」ですから、提出を要求される書類が多くてビックリ。今まで、提出したことのない書類が結構あります。
でも、でも・・・。各監督署で案件を審査するより専門部署が、それだけを処理する方が効率的で正確な対応が可能になるように思います。
きっと、今後こんな専門組織が全国に拡大するでしょうね。
2021.02.13
離職後失業期間中の健康保険はどうすれば良い?配偶者(主に旦那様)の健康保険に加入する場合は注意。
離職してから失業期間中の健康保険への加入方法は3つあります。
① 国民健康保険に加入する ② 在職時に加入していた健康保険の「任意継続」制度を利用する ③ 配偶者などの「被扶養者」として加入させてもらう
ここでは③の配偶者などの「被扶養者」として加入させてもらう場合についての注意点をお伝えします。
離職した後「失業保険」を受給することが多いと思います。失業保険を受給する場合、その期間中の健康保険についてのお話です。
失業保険を受給している期間中に限ってのお話です。
失業保険の受給中は、その受給額が一日あたりの日額で3,611円以下であることが条件です。

では、失業保険の受給額が1日3,612円以上になるとどんな注意が必要でしょう?
自己都合による退職の場合、失業保険の支給の手続きをしてから7日間の「待期期間」と、その後2か月間の「給付制限期間」があります。簡単に言うと2か月と1週間は失業保険がもらえません。
失業保険の受給が始まるまでは、その間は働かない限り収入がないことが普通です。その期間は無収入ですから配偶者が会社などで健康保険に加入していれば、その「被扶養者」として加入できます。普通は、それが一番「お得」です。何しろ健康保険の加入費用がかからないのですから。通常は、この方法を選択します。国民年金の保険料も払う必要はありません。
ところが、その後「失業保険」の受給が始まり日額3,612円以上もらい始めると、たちまち配偶者の「被扶養者」としての加入条件をクリアできなくなるのです。
失業保険を受給している期間は自分で「国民健康保険」に加入しなければならないのです。しかも国民年金の保険料も別に支払わなければなりません。
この時期になると「任意継続」の加入申請可能な「退職後20日」を経過しているため「任意継続」保険に加入するという選択肢はありません。
そして・・失業保険の受給が終わって、また無収入になれば再び配偶者の「被扶養者」としての加入資格が復活するので、再度加入させてもらう、ということになるのです。
何と面倒くさいことでしょう!
配偶者(通常旦那さん)の会社で一旦は「被扶養者」としての加入をしてもらい、その約2か月後に「資格喪失」の手続きをして自分で国民健康保険に加入し、その90日後から150日後(条件によって違います)にまたまた旦那さんの会社の健康保険に加入させてもらう。
こういう段取りになるのです。
社労士としていつも思います。このことを退職する従業員の方に丁寧に説明すると聞いている方は、さっぱり訳がわからなくなるのです。
退職後の健康保険加入条件を、この期間だけもっと簡単にできないものか?と。
2021.02.02
36協定の様式がまた新しくなりました。労働者代表の選出がポイントです。
36協定の様式がまた新しくなりました。今まで、労働基準監督署に36協定の提出をする時、受付担当者が口頭で労働者代表が「管理監督者でない旨申し出があった」ことを確認し押印するということはありましたが、労働者代表の選出方法まで確認することはありませんでした。
今回はこれと合わせて「1年単位の変形労働時間制」に関する協定届にも同じようにチェックボックスが新設されました。

来年度から使用することになる36協定の様式は労働者代表が「管理監督者でない」こと及び「投票、挙手などによる手続きを経て選出された」ことを事業者が自ら確認しチェックボックスにチェックを入れることで内容を確実なものにすることが目的のようです。
もっとも大切な事は、その労働者代表が「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を確認し、事業者と労働者代表が共同でチェックさせることにあるのだと思います。
特に中小企業などでは、そもそも従業員が労働者代表の存在を知らない、あるいは自分が労働者代表であることをちゃんと理解していないことが多々ありました。
従来、社長などから協定書を提供する必要があるから「君が代表になっといて」などと頼まれ、訳がわからないまま協定書に署名した、というようなことが普通に行われていました。
私の関与先では従業員「親睦会」の会長が、そのまま従業員代表になることが慣例化していました。「親睦会」の代表は従業員から信任されているし、皆のお世話もしているのですから確かに従業員代表には適任かもしれません。
しかし往々にしてこの親睦会会長が課長職以上の管理職であることも多いのです。
基本的に管理監督者は従業員代表になることはできません。この場合の従業員代表と親睦会の従業員代表とは意味合いが全く違うのです。
問題は、うかつに従業員代表になった社員に責任がかかる、などと言うことではありません。
従業員代表でないものと交わした「36協定」すなわち時間外労働に関する協定書が、そもそも効力が無い、と見なされてしまうことが一番大きな問題です。
これは企業にとって場合によっては致命的な事態になることがあり得ます。
36協定が無効になれば、それまで行ってきた時間外労働すなわち残業が、すべて過去にさかのぼって違法とみなされ、労働基準法違反になることです。
これまで何度も裁判で争いの対象になってきた、この労働者代表の選出方法を改めて浮き彫りにし、確実にしっかり選任するよう求めてきたのです。これは、とても大切なことです。
事業主の皆様ならびに従業員の皆様、これを機会に従業員代表の選出について慎重に行うよう意識してください。
2021.01.27
印鑑の押印省略 通勤労災時に提出する念書に保険会社からクレームが⁉
「脱印鑑」は国の方針。これに外資系会社がクレームを付けた!それに労働基準監督署が折れた!最近の体験です。
昨年末から政府の「脱印鑑」方針を受けて、あらゆる公的な申請書類から「いつの間にか」印鑑の押印欄が消えています。いったい、どの書類が不要になったのか、はっきりわかりません。
社会保険や労働保険の申請書類を労働局や年金機構のHPからダウンロードして使用する際に、最近まであった押印欄が消えていることに気が付きます。ところが、ひょっとしたらこれはミスプリントなのか、と思ってしまったり。
通勤労災の発生時に「第三者行為災害届」と共に添付する「念書」にも押印欄がありませんでした。そこで、それに従って請求人の署名だけで労働基準監督署に提出したところ、相手方の保険会社(外資系)から押印の不備を労働基準監督署経由で連絡してきました。
「念書」に押印がないため保険会社としては労働基準監督署からの調査に返答することができない、との内容です。
このことで驚いたことが二つあります。
① 外資系の会社であるにも関わらず「押印」の有無にこだわること。もともと押印の習慣などないはずの外資系会社であるはず。
② 国の政策に基づいて「脱印鑑」を推し進め、それを受けて労働局の役人が申請書類から「押印」欄を外して、わざわざアップロードしているものを、民間の保険会社から不備と言われ、それを否定できず、そのまま当方に通知してきた労働基準監督署。
当事務所としては、当然のことながら方式に従って作成した書類が、このような言い分で返戻されることに対して、監督署には反論をしました。

相手方保険会社は、自社内での稟議が通せない、という理由だけのはず。私は思わず「監督署は弱腰ですね」と言ってしまいました。監督署の担当者はただ謝るだけでした。
こんなことが通るのならば、すべての書式が存在価値を失くします。
最近あった本当の話です。